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【黒字転換銘柄は買いか?】九州旅客鉄道(9142)

鉄道

こんにちは!

今期黒字転換を見込んでいる会社は、一般的に株価が上がりやすいと言われています。そこで、前期赤字から今期黒字転換を見込んでいて、かつ高配当(予想利回り3%以上)銘柄をピックアップし、今買うべき銘柄なのか?事業内容や直近の経営状況、客観的な株価指標、株価モメンタム等を総合的に勘案して判断しました。

今回は、東証1部から陸運業種の九州旅客鉄道(JR九州)です。

最後までお付き合いいただけるとうれしいです!

事業内容

皆さんご存知の、九州地区のJRを運営する鉄道会社です。

今後の人口減少の進展や自然災害の激甚化、技術革新等、非連続的な将来の経営環境の変化が予想される中で「あるべき姿」を実現するため、「安全・安心なモビリティサービスを軸に地域の特性を活かしたまちづくりを通じて九州の持続的な発展に貢献する」という「2030年長期ビジョン」を掲げています。

事業内容は、多岐にわたっており、主に

  1. 旅客鉄道事業
  2. 海上運送事業
  3. 旅客自動車運送事業
  4. 旅行業
  5. 駐車場業
  6. 広告業
  7. 損害保険代理業その他の保険媒介代理業
  8. 旅行用品、飲食料品、酒類、医薬品、化粧品、日用品雑貨等の小売業
  9. 旅館業及び飲食店業
  10. 不動産の売買、賃貸、仲介及び管理業

を行っています。

2021年3月期通期のセグメント別の売上収益(売上高)比率は、

鉄道(運輸サービス)がほとんどを占めると思っていたのですが、他の事業も満遍なく事業展開しているので意外でした。

直近の経営状況

前期(2021年3月期)の経営成績は、

でした。減収減益で、利益面は相当な赤字を計上しました。

会社側コメントとしては、

新型コロナ感染症の感染拡大に伴い鉄道事業及びその他の事業において、移動需要の減少及び個人消費の低迷の影響を受けている。

このような状況の中、当社グループは、基幹事業である鉄道における「安全」という最大の使命のもと、鉄道安全の投資を行うとともに、「アミュプラザみやざき」や熊本駅ビル開業などの戦略的拠点地域の街づくりを進めてきた。

また、2021年3月に九州新幹線全線開業10周年を迎え、一夜限り光を放ちながら走る「流れ星新幹線」の運行等地域を元気にする取り組みを行った。

一方で、先行き不透明な経営環境の変化に備え、資金の積極的かつ前倒しでの調達、従業員の一時帰休を含めたコスト削減、投資計画の見直し等の必要な対策を講じてきた。

ということです。

セグメント別の売上高は、中でも、「運輸サービス(鉄道)」 前年比 45.1%減、「ホテル業」 同 59.0%減と落ち込みが大きくなっています。

財務面では、自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)は、2021年3月期末時点で43.8%と前期末(49.9%)から6.1ポイント下がっていますが、問題ないレベルです。

今期(2022年3月期)通期の会社予想は、

と見込んでいます。

会社側コメントとしては、

新型コロナウイルス感染症の収束時期は依然として見通せない状況であり、当社グループも、鉄道事業をはじめとした各事業において、移動需要の減少及び個人消費の低迷による影響を受け、2022年3月期も引き続き、厳しい経営環境が続くものと想定。

このような状況の中、最終年度を迎える「JR九州グループ中期経営計画2019-2021~次の『成長ステージ』に向けて~」において掲げている「更なる経営基盤強化」「主力事業の更なる収益力強化」「新たな領域における成長と進化」の3つの重点取り組みについては、必要な修正を行いながら継続し、すべての事業の基盤となる「ESG」「安全とサービス」「人づくり」への取り組みにも引き続き注力していく。

個別の事業は、

鉄道事業は、移動需要の減少の影響を強く受けているが、感染症対策を踏まえた安全とサービスを基盤としつつ、固定費の高いコスト構造の改革を加速していく。また、新幹線荷物輸送の事業化や駅周辺開発との連携による移動需要の創出など、収益獲得の施策にも取り組んでいく。そして、2022年秋頃に開業予定の西九州新幹線(武雄温泉~長崎間)の開業準備も着実に進める。

不動産事業は、熊本駅ビルの開業など駅を拠点としたまちの価値向上に加えて、物流賃貸業への参入や私募REIT運用開始に向けた準備など新たな領域における取り組みも推進していく。

以上のことから、2022年3月期の連結業績予想は、新型コロナウイルス感染症の収束時期は依然として見通せないものの、ワクチン接種の広がり等による移動需要及び個人消費の緩やかな回復を想定しており、営業収益は増収、各利益は黒字化を見込んでいる。

とのことです。

特に、「運輸サービス(鉄道)」の売上高は前期比 33.8%増、「不動産・ホテル」は同 22.2%の大きな回復を見込んでいます。

株価指標

6/22(火)終値時点の数値

PERは、同業で時価総額が近い、JR西日本(9021) 425倍、JR東海(9022) 38.4倍、西日本鉄道(9031) 87.3倍と比較すると、低い水準となっています。

※直近5年間の配当金は、以下のようになっています。

決算期年間配当金(円)配当性向(%)
2017年3月期38.513.8
2018年3月期8326.3
2019年3月期9330.2
2020年3月期9346.9
2021年3月期93―(赤字)
※九州旅客鉄道 年間配当金推移

2021年3月期は赤字にもかかわらず、前期と同額の93円の配当を維持しました。

当社は、株主還元を長期安定的に行っていくことが重要と考えており、2022年3月期までは、1株当たり配当金93円を下限として、連結配当性向35%を目安に配当を行うことにしています。また、資本効率の向上を図るために、状況に応じて自社株買いを行うことにしており、株主還元に厚い会社といえそうです。

また、この会社は3月末の株主を対象に株主優待制度もあり、100株以上保有で、

がいただけます。現在は、福岡-釜山間の高速船は運休中ですが、こちらはなんと22,000円割引きということで、超お得です!

「鉄道株主優待券」を1名分1万円の運賃とすると、5割引きで5,000円ですので、優待3つ合わせて、金額換算すると約30,000円の優待です。

週足チャート(2年間):

※出所:楽天証券サイト

株価は、昨年のコロナショック前の水準(3,525円)にはまだほど遠いです。直近の安値(2020年末の2,100円)からは、半値(2,800円程度)戻しもまだ達成していない水準です。

現在は、昨年末の安値から下値を切り上げて、上昇基調で推移しています。

まとめ

2021年3月期は、大幅な赤字を計上してしまいましたが、今期は鉄道と不動産・ホテルの大幅な増収を見込み、黒字転換を図ろうとしています。

この会社は、他のJR各社と違い、鉄道の売上の割合が比較的低いところ(全体の1/4程度、他社の2021年3月期 運輸事業の売上高の割合:JR東日本 62%、JR西日本 62%、JR東海 77%)にあり、程よく分散され、人の移動の減少による減収リスクが軽減されています。

株価は、コロナショック前の水準には程遠いことと、PERが業合他社よりは低めですので、現状の株価は割安であると言えます。そうなると、今後上昇余地は大いにあると考えます。

株主還元は、特に九州地区に居住しておられる方にとってはかなりお得な株主優待となっており、魅力的です。配当金も他社(JR東日本 1.2%、JR西日本 1.5%、JR東海 0.7%)より年利回りは倍以上高く、株主還元は 厚いですね!

以上のことから、

レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐)
業績⭐⭐⭐
配当、株主優待を含む株主還元⭐⭐⭐⭐⭐
株価モメンタム⭐⭐⭐
総合判定⭐⭐⭐⭐(買い)
※「総合判定」で⭐4つ以上「買い」、⭐3つ「中立」、⭐2つ以下「見送り」

と判断しました。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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