こんにちは!
黒字転換を見込んでいる会社は、一般的に株価が上がりやすいと言われています。そこで、前期赤字から今期黒字転換を見込んでいる銘柄をピックアップし、今買うべき銘柄なのか?事業内容や直近の経営状況、客観的な株価指標、株価モメンタム等を総合的に勘案して判断しました。
今回は、東証1部から化学業種のマンダムです。
最後までお付き合いいただけるとうれしいです!
事業内容
「ギャッツビー」や「ルシード」などの男性用化粧品が主力の会社です。
主な事業としては、大きく2つあり、
- 化粧品・香水の製造および販売
- 医薬部外品の製造および販売
です。
グループ共通の企業理念・政策のもと、各エリア(日本、インドネシア、その他海外)において、マーケット特性や現地社会との融合を考えた事業展開により、現地生活者へのお役立ちを推進しています。
商品展開においては、「男性事業」「女性事業」の2つの事業を中心に、それぞれの生活者ウォンツに細やかに対応した事業を展開しています。
「男性事業」では、ヘアスタイリング剤・スキンケア商品・ボディケア商品など、男性の日常の身だしなみやオシャレ全般に使用する商品群を扱っています。
「女性事業」では、メイクアップ商品・スキンケア商品など女性のビューティライフに彩りを添えたり、ヘアスタイリング剤・ボディケア商品など、日常の身だしなみやオシャレ全般に使用する商品群を扱っています。
2021年3月期の事業別売上高構成比は、
- 男性事業 59.8%
- 女性事業 29.7%
- その他 10.5%
地域別の売上高構成比は、
- 日本 61.4%
- インドネシア 19.1%
- 海外その他 19.5%
となっており、日本が約6割を占めています。
直近の経営状況
前期(2021年3月期)通期の経営成績は、
- 売上高 633.1億円(前年同期比 22.6%減)
- 営業損失 7.9億円
- 経常損失 2.7億円
- 親会社株主に帰属する当期純利益 8.6億円(同 80.7%減)
でした。減収減益で、純利益以外の利益面は赤字になりました。
会社側コメントとしては、
売上高は、世界的な新型コロナウィルスの感染拡大の影響を受け、国内外ともに減収となった。利益面は、国内外の市場環境の急速な悪化を受け、販売費及び一般管理費の削減に取り組んだものの、減収をカバーしきれなかった。純利益は、投資有価証券売却益の計上がありプラスの結果となった。
地域別にみると、
日本の売上高は388.5億円(前期比 15.9%減)。新型コロナウィルス感染拡大により、男性事業、女性事業ともに減収。利益面は、減収の影響で、営業損失 2.6億円(前期は30.1億円の営業利益)。
インドネシアの売上高は、121.0億円(同 32.0%減)。インドネシア国内で新型コロナウィルス感染症拡大の影響で消費が低迷し、営業活動にも支障が出たことによるもの。利益面は主に減収の影響で、営業損失 9.0億円(前期 6.5億円の営業利益)。
海外その他の売上高は、123.6億円(同 30.6%減)。主に一部の国において第3四半期(2021年9月~12月)から回復の動きがあったものの、多くの国で新型コロナウェルス感染症の影響で消費が低迷した。利益面は、主に減収の影響により、営業利益は3.6億円(同 84.4%減)。
「海外その他」のみ、営業利益は黒字となっています。
財務面では、自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)が、2021年3月期末時点で73.1%と前期末(73.2%)から0.1ポイント下がっています。こちらは健全な状態で問題ないレベルです。
今期(2022年3月期)通期の会社予想は、
- 売上高 640億円(前年同期比 1.1%増)
- 営業利益 9.5億円(同 +17.4億円)
- 経常利益 12.2億円(同 +14.9億円)
- 親会社株主に帰属する当期純利益 7.2億円(同 16.3%減)
※2022年3月期の期首より「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号)等を適用するため、従来費用処理していた一部の項目を売上高から控除することとなり、2021年3月期の売上高を同様の基準で算定した場合の通期の前期比は約7%増となる見込みとしています。
これに対する会社側コメントとしては、
今後の世界経済は、新型コロナウィルス感染症拡大による落ち込みからの回復が進むものの、当面多くの国で景気の下押しが残存し、景気回復ペースは緩やかになるものと予想。
新しい生活様式や生活者の価値観の変化により、化粧文化も変わっていくと考えており、この変化に対
応した価値提案を継続的に行うことが極めて重要と考え、以下の方針を掲げて実行する。
【経営基本方針】
- ニューノーマルにおけるカテゴリー戦略の進化・挑戦とブランド価値向上を徹底できる全社マーケティング革新
- インドネシア事業再生のスピーディな完遂と海外事業のビジネスモデル革新
- デジタライゼーションとオープンイノベーションによる新価値創造企業への転換
- サステナブル経営を中核とした企業価値向上とお役立ちの進化
2022年3月期は、赤字を脱するものの、やや回復が鈍くなるという予想のようです。
株価指標
6/18(金)終値時点の数値
- 株価:2,088円
- 時価総額:1,008億円
- PER:130.5倍
PERは、同業で時価総額が近い、資生堂(4911) 85.1倍、花王(4452) 24.1倍、ロート製薬(4527) 18.9倍と比較すると、高い水準となっています。
- PBR:1.45倍
- 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):1.6倍
- 年間配当金(会社予想):36円(年2回 9月 18円、3月 18円)、年間利回り:1.7%(配当性向 224.3%)
※直近5年間の配当金は、以下のようになっています。
決算期 | 年間配当金(円) | 配当性向(%) |
2017年3月期 | 48 | 40.3 |
2018年3月期 | 59 | 45.3 |
2019年3月期 | 60 | 55.1 |
2020年3月期 | 62 | 63.5 |
2021年3月期 | 32 | 166.9 |
配当利回りは、東証1部の単純平均(1.79%(6/18時点))よりはやや低いですが、ほぼ同水準です。配当性向は40~60%ですので高いほうです。株主還元に厚い会社といえるでしょう。
当社の配当金に関する数値目標は、特別な要素を除いた連結ベースでの「配当性向40%以上」としています。
また、この会社は3月末の株主を対象に株主優待制度もあり、100株以上で5,000円相当の自社製品(化粧品等) がいただけます。こちらはうれしいですね!
- 株主優待+配当金の年利回り(100株以上の場合):4.1%
週足チャート(2年間):
株価は、昨年のコロナショック前の水準(2,450円程度)にまだ回復していない状況です。
コロナショック後の下落後は、1,520円ほどで3回底値固めをして、2021年2月初めから上昇基調に転じています。底値固めをした後の上昇なので、今後も上昇が続く可能性があります。
まとめ
2022年3月期の営業利益は、黒字転換の予想ですが、2020年3月期の利益レベル(60億円)には程遠い予想となっており、また半面控えめな予想という印象もあります。
化粧品業界は、アフターコロナ、ウィズコロナの社会の動向を受け、外出の機会が減ったり、マスクをすると口元を隠すことが多いことから、需要が以前のレベルに戻るかというと、難しいかもしれません。
会社の今後の方針にもありますように、どれだけニューノーマルに合わせたマーケティングをして、商品開発や市場への投入をしていけるかが、業績が伸びるポイントと考えます。
株主還元は、配当性向が高く、また株主優待を含めた年利回りが4.1%ですので、こちらは魅力的です。
株価モメンタムは、週足で3回底値固めをして、上昇基調に転じてきているため、今後コロナショック前の水準(2,450円)を上抜けるようなことがあると、一段高を目指せる可能性があります。
以上のことから、
レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
業績 | ⭐⭐⭐ |
配当、株主優待を含む株主還元 | ⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐⭐(買い) |
と判断しました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。