直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。
最後までお付き合いいただけるとうれしいです!
- 立会外分売とは?
新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。
- 立会外分売の魅力
- 前日終値より安く購入可能
- 立会外分配における買付側の購入価格は確定値段(1本値)で、分売実施日の前日終値よりディスカウントされるのが一般的。過去の例では、約3~5%のディスカウントで実施されています。(ディスカウント率は取引所の規定により最大10%)
- 買付手数料はかからない
- 立会外分売による買付は、通常の立会時間内の取引と種類が異なるため一般的に手数料はかからない。(売却時には通常の手数料が発生)
- 即日売却OK
- 立会外分売で取得した株式は、実施日(買付当日)から売却することが可能
- 前日終値より安く購入可能
- デメリット:抽選で外れることもある
- 買い申し込みが多いと、抽選ではずれて購入できないこともある。
第19回目は、東証マザーズから医薬品業種のファンペップです。
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実施日や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側が実施日前日に発表しますので前日にならないとわかりません。分売数量は決まっていて、100株単位で最大10,000株まで購入できます。
早ければ、6/23(水)の夕刻に、会社側からの適時開示で実施日と分売価格のお知らせがありますので、チェックしてくださいね💖
分売実施予定日 | 2021/6/24(木)~2021/6/28(月) |
分売数量 | 520,000株 (発行済み株数17,157,300株の約3.0%) |
申込単位数量 | 100株 |
申込上限数量 | 10,000株 |
実施の目的 | 当社株式の分布状況の改善及び流動性の向上を図るため |
分売株数が、発行済み株数の3.0%とほどほどの数量です。
また、この銘柄の直近の出来高(売買が成立した株式の数量)の5日平均は77,000株、25日平均は203,400株ですので、流動性はまあまあありますが、少し低いレベルです。
事業内容
大阪大学とペプチド研究を通じで培ったノウハウを基に、ペプチド(アミノ酸が2~50個程度がつながった化合物の総称)の機能に着目し、医薬品、化粧品、医療機器等の研究開発、製品開発を行っている会社です。昨年(2020年)12月に新規上場したばかりです。
当社の開発品は、難病や希少疾病の治療薬のみならず、高額化する医療費の削減を解決でき、最終的な受益者となる患者さんからも支援される社会的にとても意義の高い製品です。
大学の機能性ペプチドの研究成果の中から実用性の高いプロダクトについて、共同研究を行い、シーズをインキュベーション(事業創出)し、実用化への橋渡しを行います。これに基づいて、医薬品、機能性化粧品及び医療機器として開発し、製薬企業等とのパートナリングにより、ライセンス契約料、ロイヤリティ収入を獲得することで事業を発展させています。
また、
2020年4月から、新型コロナウイルス感染症の制御に重要な予防ワクチン開発に向けて、大阪大学及びアンジェス株式会社との間で、当社の抗体誘導ペプチド等のペプチド技術を活用した次世代ワクチンの共同研究を実施しています。
医薬品等の研究開発事業の単一セグメントです。
直近の経営状況
2021年12月期1Qの経営成績は、
- 売上高 1百万円(前年同期比 -)※2020年12月上場の為、前年同期比較無し
- 営業損失 1.6億円
- 経常損失 1.4億円
- 親会社株主に帰属する四半期純損失 1.5億円
でした。まだ上場したばかりの会社ですので、売上がほとんどなく、営業赤字となっています。
営業外収益は、主に国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)から強直性脊椎炎(脊椎や骨盤の炎症が主体となる原因不明のリウマチ性疾患で難病に指定されている。)治療薬プロジェクトに対する補助金収入50百万円、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの抗体誘導ペプチド(標的タンパク質:IL-23)の研究開発に対する補助金収入14百万円を計上しています。
会社側コメントとしては、
当社が取り組んでいる抗体誘導ペプチド等の機能性ペプチドは、新しいタイプの創薬技術であり、大学等のシーズをインキュベーションして製薬会社に橋渡しすることで、医薬品業界における大学発創薬系ベンチャーの役割を果たしていきたいと考えている。
この役割を担うため、当社は、大阪大学をはじめとする大学等の研究機関との間で、共同研究等により連携を図り、大学の技術シーズを生かした基礎研究を実施している。更に、開発品の開発規模(試験規模及び必要資金規模)を踏まえ、医薬品の研究開発プロセスのうち、基礎研究から、一定段階の臨床試験や薬事承認までを実施して技術シーズのインキュベーションを行う方針。
一方、医薬品の研究開発は期間が長く必要資金も大きいことから、当社は、研究開発段階から製薬会社等との提携体制を構築し、その提携収入等により、研究開発遂行上の財務リスクの低減を図っていく方針です。医薬品の研究開発段階においては、契約一時金、研究開発協力金及び開発マイルストーンを受取り、当社開発品が将来上市に至った場合には、提携製薬会社からのロイヤリティ―収入等によって本格的な利益拡大を実現する計画です。
2021年12月期通期予想に対しての1Qの進捗率は、
- 売上高 0.8%(通期計画 129百万円)
- 営業利益 +10.8億円(同 △12.4億円(赤字の計画))
となっており、売上高に関しては、進捗率がかなり悪くなっています。まだ、1Qですので挽回の可能性はあります。
しかしながら、この立会外分売の発表と同時(6/16)に、
適時開示で、機能性ペプチド「SR-0379」の皮膚潰瘍患者を対象とする日本での第Ⅲ相臨床試験の治験計画届に関して、PMDA (独立行政法人医薬品医療機器総合機構)による所定の調査が終了し、本臨床試験を開始することになったと、会社側から発表がありました。
これにより、今2Qに、提携先の塩野義製薬からの第Ⅲ相臨床試験開始に伴うマイルストーン収入 125 百万円を、事業収益(売上)として計上することが確定しています。
これは今期の計画に織り込み済みですので、計画通りの進捗です。この売り上げを加味すると、売上高の進捗率は通期計画をほぼ達成(進捗率 96.9%)したことになります。
財務面は、自己資本比率(自己資本(総資本ー他人資本)÷総資産 ×100)が、2020年12月期末時点の95.9%から、2021年12月期1Q末時点で95.6%と0.3ポイント下がっていますが、問題ないレベルです。
株価指標
6/16(水)終値時点の数値
- 株価:467円
- 時価総額:80.1億円
- PER:0.0倍
PERは、同業で時価総額が近い、アンジェス(4563) 0倍、ジーンテクノサイエンス(4584) 0倍、サンバイオ(4592) 0倍となっており、いずれにしても新興の製薬会社は、まだ収益が上がっていませんのでPERでの比較不能ですね。
- PBR:2.19倍
- 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):ー(信用売残無し)
- 年間配当金(会社予想):0円(無配)
直近4年間(2017年12月期~2020年12月期)も無配となっています。まだまだこれから収益を上げていく会社ですので、利益創出に専念するということで無配もうなずけます。
他の株主還元として、直近で発表があり、今年から6月末と12月末の株主に、機能性ペプチド配合商品等を株主優待割引価格(希望小売価格の 40~50%割引価格)にて購入できることになりました。こちらは嬉しいですね!
日足チャート(6か月間):
株価は、昨年末の新規上場の初値715円をつけ、その後は数回回復していますが、現在はその初値に届いていない状況です。
新興の新薬会社は、材料が出れば、株価が一気に跳ね上がることも多いので、その点は期待できますね!
まとめ
2021年12月期1Qの業績は、利益面が赤字の計画なので、何とも言えないところがありますが、売上は2Qで機能性ペプチド「SR-0379」の臨床試験を開始するということが決定し、計画に対して順調です。
同業他社の新興創薬会社のサンバイオ(4563)やアンジェス(4563)の例にもあるように、新薬開発の材料が出れば、一気に株価が上昇することも多いです。
半面、マイナス材料が出ると一気に下落するスピードも速く、目も当てられないといった事例も多いですので難しい面があります。
現在の株価は、上場来の安値圏でもみ合っていますので、当面の上昇はないかもしれませんが、何か材料が出て一気に上がるのを待つという選択肢もありかなと考えます。
以上のことから、
レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
業績 | ⭐⭐⭐⭐(売上高は2Q途中時点で計画通り) |
配当を含む株主還元 | ⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐⭐(材料が出た場合の上昇期待を込めて) |
流動性 | ⭐⭐⭐ |
分売数量 | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐⭐⭐(買い) |
と判断しました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。
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