こんにちは!
6月権利確定銘柄の中で高配当銘柄(年利回り4%以上)に絞り、権利確定に向けて買うべき銘柄なのか、事業内容や直近の経営状況、客観的な株価指標や株価モメンタム等を総合的に勘案して判断しました。
今回は、東証マザーズから、不動産業種のトラストホールディングスです。
最後までお付き合いいただけるとうれしいです!
事業内容
九州地盤の駐車場事業・不動産事業・駐車場等小口化事業を柱に、ウォーター事業、メディカルサービス事業等、『医』『食』『住』の環境が整った地域社会の形成を目指して事業を展開している会社です。
セグメントは、「駐車場事業」、「不動産事業」、駐車場等の小口化投資商品を提供している「駐車場等小口化事業」、医療機関への不動産賃貸や各種コンサルティング業務を通じ、医療設備を提供する「メディカルサービス事業」、キャンピングカーの製造、販売及びレンタルをしている「RV事業」に分かれており、
2021年6月期3Q累計の売上高構成比は、
- 駐車場事業 59.1%
- 不動産事業 6.0%
- 駐車場等小口化事業 20.5%
- メディカルサービス事業 1.7%
- RV事業 3.6%
- その他 9.1%
となっており、駐車場事業が6割弱を占めています。
直近の経営状況
2021年6月期3Q累計の経営成績は、
- 売上高 83.6億円(前年同期比 23.4%減)
- 営業損失 1.4億円
- 経常損失 2.0億円
- 親会社株主に帰属する四半期純利益 1.5億円(同 56.8%減)
となっており、減収減益で、営業利益と経常利益は赤字に落ち込んでいます。
営業利益と経常利益は赤字ですが、純利益が黒字なのは、主に運営する駐車場の閉鎖に伴う営業補償金6.0億円を特別利益に計上し、駐車場設備や水素水製造装置等の固定資産の減損を0.8億円減損損失に計上した結果です。
個別で見ていくと、
駐車場事業は、外出自粛等の影響により駐車場利用者が減少し、その結果、売上高49.4億円(前年同期比3.9%減)、営業損失94百万円(前年同期は160百万円の営業利益)となりました。なお、当3Q期間末の駐車場数は857ヶ所(前年同期より48ヶ所増、前年度末より1ヶ所増)、車室数は31,761車室(前年同期より1,378車室増、前連結会計年度末より906車室減)となっています。
不動産事業は、3Q累計期間においては、新築マンションの竣工はなかったのですが、既竣工物件2件の販売に注力し14戸の引渡を実施。その結果、売上高5.0億円(前年同期比82.5%減)、営業損失2.0億円(前年同期は2.3億円の営業利益)となりました。
駐車場等小口化事業は、駐車場小口化商品「トラストパートナーズ」の販売を9件行い、売上高17.1億円(前年同期比1.9%減)、営業利益4.1億円(同51.3%増)となっています。
売上高の85%以上を占める上位3つの事業(駐車場、不動産、駐車場等小口化事業)のうち、駐車場等小口化事業のみ黒字になっています。
2021年6月期通期予想に対しての、3Q累計の進捗率は、
- 売上高 59.7%(通期計画 140億円)
- 営業利益 5.1億円積み上げ要(同 3.7億円)
となっており、通期計画に対しての進捗率は、特に利益面でかなり悪くなっています。
2021年6月期通期の業績予想に関しては、現時点で修正の発表は出ていません。
財務面では、自己資本比率(自己資本(総資本-他人資本)÷総資産) ×100)が、2021年6月期3Q末時点で8.3%と前期末(7.7%)と比較し、0.6ポイント上がっています。あまり変動はありませんが、健全の状態である目安(30~70%)からすると、決して健全とは言えない状況です。
株価指標
6/11(金)終値時点の数値
- 株価:384円
- 時価総額:20.0億円
- PER:61.0倍
PERは、同業で時価総額が近い、パラカ(4809) 15.8倍、パーク24(4666) 0.0倍です。パラカと比較すると、高い水準となっています。
- PBR:2.22倍
- 信用倍率(信用買い残÷信用売り残):ー(信用売り残無し)
- 年間配当金(会社予想):16.4円(年2回 12月 8.2円、6月 8.2円)、年間利回り:4.3%(配当性向 71.4%)
※直近5年間の配当金は、以下のようになっています。
決算期 | 年間配当金(円) | 配当性向(%) |
2016年6月期 | 16.4 | -(赤字) |
2017年6月期 | 16.4 | 180 |
2018年6月期 | 16.4 | 70.1 |
2019年6月期 | 16.4 | 39.7 |
2020年6月期 | 16.4 | 137 |
配当金は、直近5年間は一定で年間16.4円です。しかしながら、配当性向が100%を超えている年度もあります。株主にとっては配当金は嬉しいものですが、財政上どうかといわれると疑問符が付きます。
週足チャート(2年間):
株価は、昨年のコロナショック前の水準(400円程度)に2回ほど回復しているのですが、一瞬だけでその後は持続していません。
この400円を上抜けてくると、株価は上昇基調に入っていく可能性もあります。
まとめ
2021年6月期3Q累計の業績は、利益面は赤字で、売上高の通期計画に対する進捗率も上がってきていません。4Qだけで5.1億円利益を積み上げないと計画を達成しない状況ですので、かなり苦しいです。
このままでいくと、下方修正もあり得ると考えます。
配当年利回りは4.3%と高いのですが、株価が下落すると配当金をいただいても損益マイナスとなりかねなません。
株価モメンタムとしては、直近では上昇基調ですが、業績面から何時下落してもおかしくない状況ですので、あまり買う気にはなれません。
以上のことから、
レベル(最低⭐~最高⭐⭐⭐⭐⭐) | |
業績 | ⭐ |
配当を含む株主還元 | ⭐⭐⭐⭐ |
株価モメンタム | ⭐⭐⭐ |
総合判定 | ⭐⭐(見送り) |
と判断しました。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。