今回は、8月末権利確定で分配金がいただける、20万円以下で購入可能なJ-REIT(多くの投資家から集めた資金で、オフィスビルや商業施設、マンションなど複数の不動産などを購入し、その賃貸収入や売買益を投資家に分配する商品:8月権利確定は10投資法人あります。)を、年利回りが高い順に3つご紹介します。
※年利回りは5/31(月)終値で計算しています。その後の値動きによっては利回りは下がってきますのでその点はご注意を!
【J-REITの簡単な説明】
投資信託の仲間であり、我々投資家は、東京証券取引所でJ-REIT(不動産投資法人)商品を購入し、J-REITが、商業施設やホテル、住宅などの不動産を保有・運営してその家賃収入や売却益を得て、その収益の中から分配金として投資家に配分されるものです。
J-REITは全体的に、高配当な銘柄が多く存在します。そして、分配月もばらけていますので、複数のJ-REITを保有すると分散投資にもなりますし、ほぼ毎月分配金をいただける嬉しい状況になります。
昨年の3月のコロナショック時にJ-REITの株価が、日経平均以上(下落前の半値以上)下落している銘柄もありましたが、現在はコロナショック前の水準に戻しつつあります。
では、一つ一つ見ていきましょう!
【第3位】サンケイリアルエステート投資法人(2972) 配当利回り 4.5%
サンケイビルグループがスポンサーの、オフィスビルを主な投資対象としている投資法人です。
また強固なポートフォリオを構築するため、「オフィスビル」と異なる特性を有し、かつポートフォリオ収益の安定性に資する用途を総称して「サブアセット」と位置付け、従たる投資対象として一定の割合を目安に投資を行う方針です。
投資方針は、用途としては、オフィスビル 80%程度、サブアセット 20%程度、地域は、東京圏・大阪市・名古屋市 70%以上、政令指定都市(東京圏・大阪市・名古屋市を除く)、中核市及び地方主要都市 30%以下としています。
保有物件(2021年2月28日現在)は、12物件 715億円となっており、オフィスビル平均稼働率は、99.8%です。
用途別投資比率は、
- オフィスビル 81.9%
- サブアセット 18.1%
地域別投資比率は、
- 東京23区 76.1%
- 大阪 18.3%
- その他 5.6%
です。東京23区のオフィスビルが、ほとんどを占めています。
【前期(2021年2月期)の運用状況】
- 営業収益 21.5億円(前期(2020年8月期)比 7.1%増 )
- 営業利益 11.2億円(同 12.3%増)
- 経常利益 10.2億円(同 12.5%増)
- 当期純利益 10.2億円(同 12.5%増)
- 1口当たり分配金(利益超過分配金含む)2,849円(同 317円増)
となっています。
本投資法人は、借入金により2020年10月1日に1物件(S-GATE赤坂)を取得価格42億円で取得した結果、当期末日現在のポートフォリオは、物件数は11物件から12物件に増加しています。
また、運用資産について、収入拡大と運用収益の安定的な成長を目指し、既存テナントとのリレーションシップの強化・充実を図りながら満足度向上に努めました。更改期を迎える既存テナントに対しては、賃貸市場の動向を踏まえた取り組みを行い、コロナ禍においても大半のテナントについて賃料増額又は現状維持での改定を実現しました。当期において期初に発生した空室についても、機動的なリーシング(気密性や防水性を高めるために、建物の継ぎ目やひび割れなどの隙間を充填すること)により、新規テナントの当期中の入居を実現することができ、修繕及び資本的支出については、運用資産の競争力の維持・向上に資するものに絞り込み実施しました。
一方で、複数拠点を有する企業を中心に拠点集約の動きがあり、一部テナントから拠点集約に伴う解約通知等を受領しているが、当期の運用実績への影響はないとのこと。
所有しているホテル2物件(ホテルインターゲート東京 京橋、ホテルインターゲート広島)については、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う影響を受けているものの、当期の賃貸事業収入については、現行契約に基づく固定賃料を従来通り確保しています。
【今期(2021年8月期)の見通し】(2021年4月15日時点)
オフィスビル市場については、コロナ禍において空室率の上昇が見られ、賃料についても天井感、又は相場の下落傾向が見られるようになっています。また、社会経済活動における就業形態の変化やオフィス需要の動向を注視する必要があり、本投資法人においても、在宅勤務等のテレワークの拡大の影響から、拠点の集約やオフィス面積の削減が進むことにより、賃貸借契約の解約が発生することが考えられます。
テナントの業績等について注視するとともに、テナントとのリレーションを一層強化し、必要な協議及び対応を継続して行っていくとのこと。
ホテル2物件においては、厳しい経営環境が予想されていますが、定期建物賃貸借契約に基づく固定賃料の支払いを継続していることから、本投資法人への影響はない見込みとのことです。
【今期 2021年8月期の運用状況の予想】
- 営業収益 21.8億円(前期(2021年2月期)比 1.4%増 )
- 営業利益 11.2億円(同 0.1%増)
- 経常利益 10.2億円(同 0.5%増)
- 当期純利益 10.2億円(同 0.5%増)
- 1口当たり分配金(利益超過分配金含む)2,862円(同 13円増(0.5%増))
と、微増ですが、増収増益の予想となっています。ですので、分配金予想も前期よりは微増となっています。
決算期 | 一口当たり分配金 |
2021年8月期 | 2,862円 |
2022年2月期 | 2,720円 |
年間 | 5,582円 |
株価(5/31終値) | 123,600円 |
年配当利回り | 4.52% |
週足チャート(2年間):
株価は、昨年のコロナショック前の水準を回復していませんが、コロナショック以降は順調に値を戻してきており、右肩上がりの推移です。今後、140,000円の高値を突破してくるのかどうかがポイントでしょうか。
【第2位】ザイマックス・リート投資法人(3488) 配当利回り 4.7%
不動産マネジメントのリーディングカンパニーである、ザイマックスグループが手掛けるJ-REITです。
東京23区や周辺県を中心に、オフィス、商業施設、ホテルなどに投資している総合型REITです。
重点施策として、
- オフィス:長期安定的な賃料収入を見込むことができる物件を重点選定
- 商業施設:安定的に事業継続可能と想定される物件を重点選定
- ホテル:訪日外国人及びビジネス需要の見込めるエリアに所在する物件を重点選定
を掲げ、ザイマックスグループがこれまで築き上げてきた豊富な顧客基盤及び実績に基づいた情報力を活用したソーシングを通じて、資産規模の拡大を図っています。
投資方針は、メインアセット(オフィス、商業施設、ホテル)を80%以上(取得価格ベース)、その他アセット(住宅)を20%以下としています。
保有物件(2021年2月28日現在)は、13物件 341億円となっており、平均稼働率は、98.2%(2021年4月30日現在)です。
用途別投資比率は、
- オフィスビル 52.6%
- 商業施設 26.6%
- ホテル 12.9%
- その他(住宅) 7.9%
地域別投資比率は、
- 都心8区 45.0%
- 東京経済圏 31.1%
- 政令指定都市 23.9%
です。都心8区のオフィスビルが、大きな比重を占めています。
【前期(2021年2月期)の運用状況】
- 営業収益 12.9億円(前期(2020年8月期)比 5.2%減 )
- 営業利益 7.2億円(同 7.2%減)
- 経常利益 6.5億円(同 10.2%減)
- 当期純利益 6.5億円(同 10.2%減)
- 1口当たり分配金(利益超過分配金含む)2,911円(同 331円減)
となっています。
オフィスについては、2020年4Q(10-12月)の東京23区の空室率は、前四半期比0.53ポイント増加し1.87%となっています。新型コロナウイルス感染症予防対策の為、在宅勤務の実施やシェアオフィスサービスを利用するなどのテレワークの動きが業種を問わず浸透したことなどにより、オフィスの縮小移転や部分解約を行なう動きなどが見られました。
商業施設については、経済産業省の商業動態統計によると、2020年4Qの小売業販売額は前年同期比2.1%の増加となりました。百貨店ではGo Toキャンペーンなどによる消費の押し上げの影響を受け、4Qは2Q(4-6月)に比べて販売額が約2倍になるなど回復の兆しが一定見られた他、日常必需品の販売を主としているスーパーマーケットにおける販売額は全国平均3.6%の増加となり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下においても堅調に推移しています。また、総務省統計局のサービス産業動向調査によると、飲食店の売上高は前年同四半期比で21.1%の減少となりました。
ホテルは、新型コロナウイルス感染症の収束への先行き不透明感などから宿泊需要の本格的な回復には相応の時間を要するものと考えられ、訪日外客数に関しては、新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延が続いていることや変異株の存在の確認による入国制限などから、依然として非常に低い水準となっています。
【今期(2021年8月期)の見通し】(2021年4月14日時点)
外部成長戦略としては、
スポンサーである株式会社ザイマックスとのスポンサー・サポート契約に基づき、ザイマックスグループの顧客基盤から得られる不動産売却ニーズを捕捉し、物件取得機会に繋げることを目指しています。
内部成長戦略としては、
スポンサー・サポート契約に基づき、ザイマックスグループから、各種不動産マネジメントに関する知見・ノウハウの提供を受け、ザイマックスグループの不動産マネジメントの知見・ノウハウ、データベース、管理システム及び私募ファンドの運用経験等を活かした安定的かつ効率的な運用を行うとのことです。
【今期 2021年8月期の運用状況の予想】
- 営業収益 12.9億円(前期(2021年2月期)比 0.1%減 )
- 営業利益 6.8億円(同 5.5%減)
- 経常利益 6.2億円(同 4.2%減)
- 当期純利益 6.2億円(同 4.2%減)
- 1口当たり分配金(利益超過分配金含む)2,788円(同 123円減(4.2%減))
と、減収減益の予想となっています。ですので、分配金予想も前期より123円減少しています。
決算期 | 一口当たり分配金 |
2021年8月期 | 2,788円 |
2022年2月期 | 2,867円 |
年間 | 5,655円 |
株価(5/31終値) | 120,000円 |
年配当利回り | 4.71% |
週足チャート(2年間):
株価は、こちらもコロナショック前の水準を回復していませんが、上昇基調が続いています。コロナショック前の高値140,000円程度を超えてくれば、一段高も考えられます。
【第1位】タカラレーベン不動産投資法人(3492) 配当利回り 5.0%
タカラレーベン、PAGインベストメント・マネジメント、共立メンテナンス及びヤマダホールディングスから成る、オフィス、住宅、ホテル及び商業施設その他の物件に関する豊富な実績に裏打ちされた専門性とノウハウを有する企業をスポンサーとする総合型J-REITです。
投資戦略として、築年数、規模及び設備等の物件のスペック、物件の所在する地域の属性、周辺の競合物件の有無及びその状況、並びにテナントの属性及び信用力等を総合的に勘案した上で、取得の時点において競争力があると判断されるか、運用期間中において、本投資法人による資本的支出やスポンサーのサポート等を活用したバリューアップにより将来的に競争力を向上させることができると判断される物件に、投資を行うとのこと。
投資方針は、エリア別では、コアエリア(東京、大阪、名古屋、福岡)を70%以上(取得価格ベース)、サブエリアを30%以下とし、用途別では、オフィス及び住居を70%以上、ホテル及び商業施設・その他を30%以下としています。
保有物件(2021年5月19日現在)は、37物件 849億円となっており、稼働率は、98.0%です。
用途別投資比率は、
- オフィス 56%
- 住宅 16%
- ホテル 11%
- 商業施設・その他 17%
地域別投資比率は、
- 東京経済圏 45%
- 大阪経済圏 14%
- 名古屋経済圏 10%
- 福岡経済圏 5%
- その他 26%
です。東京経済圏のオフィスが、大きな比重を占めています。
【前期(2021年2月期)の運用状況】
- 営業収益 28.7億円(前期(2021年2月期)比 4.5%増 )
- 営業利益 17.0億円(同 5.7%増)
- 経常利益 15.0億円(同 7.2%増)
- 当期純利益 14.8億円(同 5.5%増)
- 1口当たり分配金(利益超過分配金含む)3,100円(同 71円増(2.3%増))
となっています。
本投資法人の保有資産は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響を一定程度受ける一方で、「ポートフォリオの質の向上」、「スポンサー間の役割の明確化」、「内部成長・その他施策の実施」の3つの中期運用戦略に基づき、賃料の増額交渉やコスト削減による内部成長を図るとともに、2020年11月に盛岡駅前通ビル及びEME郡山ビル、2020年12月に宇都宮セントラルビル、2021年2月及び3月に
Almost Blueを売却し、当該売却資金をもって、2021年3月にイオンスタイル尾道(底地)、2021年4月にDCMダイキ尾道店(底地)及びラグゼナ門真を取得するとともに、2021年4月30日に代々木一丁目ビル、2021年5月10日までの間にビッグモーター札幌清田店(底地)を取得することを決定し、積極的なポートフォリオの入替を実施しています。
また、アリエッタホテル名古屋について、後継オペレーターであるソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ株式会社と2021年2月10日付で定期建物賃貸借契約を締結し、2021年3月15日付で賃貸借を開始しています。
【今期(2021年8月期)の見通し】(2021年4月13日時点)
「外部成長」と「安定運用・内部成長」を追求すべく、高い開発力があるタカラレーベングループからの安定した物件供給と、PAGインベストメント・マネジメント(以下、「PGA」)のマーケットでの情報収集力と相場環境に臨機応変に対応した投資判断・ノウハウ等を活用した資産取得によって、外部成長の実現を目指すとともに、タカラレーベングループのバリューチェーンとPAGの日本の不動産市場におけるアセットマネジメントのノウハウを組み合わせ、さらに共立メンテナンス及びヤマダホールディングスが有する独自のネットワーク、個々のアセットクラスで培った運営ノウハウ等によって、「安定運用・内部成長」を目指すことを基本方針としています。
さらに、上記の3つの中期運用戦略に基づき、「投資主価値の最大化」、「持続的な環境の創造」及び「地域と社会への貢献」の実現を目指しています。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響について引き続き注視するとともに、本投資法人の運用状況についても一定程度の影響を見込んでいます。
その中で、外部成長戦略としては、豊富な実績によって裏付けられるタカラレーベングループの開発力とPAGのソーシング力を両輪として活用。バランスの取れたポートフォリオを目指し、特にタカラレーベングループからは主として開発物件の取得を、PAGからはタカラレーベングループの開発していないエリア・規模の物件の取得を厳選して実施。また、ポートフォリオの質の向上を踏まえて資産の入替等も検討するとのことです。
【今期 2021年8月期の運用状況の予想】
- 営業収益 29.8億円(前期(2021年2月期)比 3.7%増 )
- 営業利益 17.9億円(同 5.0%増)
- 経常利益 15.6億円(同 4.1%増)
- 当期純利益 15.2億円(同 2.8%増)
- 1口当たり分配金(利益超過分配金含む)3,100円(同 ±0円)
と、増収増益の予想となっていますが、分配金は増減ありません。
決算期 | 一口当たり分配金 |
2021年8月期 | 3,100円 |
2022年2月期 | 2,900円 |
年間 | 6,000円 |
株価(5/31終値) | 119,500円 |
年配当利回り | 5.02% |
週足チャート(2年間):
株価は、昨年のコロナショック前の水準にあと一歩というところですが、まだ届いていない状況です。高値の130,000円近辺に届くかどうかというところでしょうか。
まとめ
8月権利確定のJ-REITの中では、大規模総合型で多くのスポンサーがついていて、スキがなく安定していそうな「タカラレーベン不動産投資法人(3492)」が一番魅力的でしょうか。
「ザイマックス・リート投資法人(3488)」も同じ総合型REITで高分配ですので魅力的なのですが、今期は減収減益というところが気になります。
「サンケイリアルエステート投資法人(2972)」は、オフィスビル型REITで、昨今のコロナ禍で在宅勤務等のテレワークの拡大の影響から、拠点の集約やオフィス面積の削減が進む可能性がありますが、今期は増収増益の計画で力強さを感じます。
※株式投資は、自己判断、自己責任でお願いします。