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【立会外分売は買いか?】初穂商事(7425)

建築資材

直近で立会外分売の実施を発表した銘柄に関して、買った場合、利益を得ることができるのか?直近の経営状況や客観的な指標、株価モメンタム等を踏まえ、総合的に分析しました。

最後までお付き合いいただけると嬉しいです!

新規株主を増やすことを目的として、上場会社が大株主である銀行やオーナー経営者などの保有株を小口に分けて、証券取引所の立会外で不特定多数に売り出すこと。
取引開始前など取引時間外(=立会外)に売り出されることからこのように呼ばれる。

第10回目は、東証ジャスダックから卸売業種の初穂商事です。

分売の概要

実施期間や株数は以下です。実施予定日は幅があり、実際の実施日と販売価格は、会社側が実施日前日に発表しますので前日にならないとわかりません。ただ、販売数量は決まっていて、100株購入できます。

早ければ、5/27(木)の夕刻に、会社側からの適時開示で実施日と分売価格のお知らせがありますので、チェックしてくださいね💖

分売実施予定日2021/5/28(金)~2021/6/2(水)
分売数量40,000株
発行済み株数1,740,330株の約2.3%
申込単位数量100株
申込上限数量100株
実施の目的一定数量の売却意向があり、当社として検討した結果、当社株式の分布状況の改善および流動性の向上を目的として実施する

分売株数が、発行済み株数の2.3%とほどほどな数量という印象です。

また、この銘柄の直近の出来高は、5/26は0、その前営業日は500株ということで1日の出来高は大半が1,000株以下です。ほとんど流動性がない銘柄といえます。

事業内容

鉄鋼・建築資材の総合商社です。

建築資材の取り扱いを通して、より快適な夢と希望あふれる社会づくりに貢献し、会社はお客様の為にあることを基本に心からのサービスを提供し、ともに栄えることを企業理念としています。

三つの事業分野である、

木造建築物、鉄筋コンクリート建築物における建築資材としての内装建材を販売している「内装建材事業」

ハウスメーカーや外構工事業者向けにカーポートや物置、フェンスや石材等のエクステリア商品を販売している「エクステリア事業」

住宅や環境に関わる商品群として、主に屋根工事・外装板金工事といった建設業者向けに商品の販売をしている「住環境関連事業」

を軸にして、多角的な成長を目指しています。

2021年12月期1Qのセグメント別の売上高の構成比は、

となっており、内装建材事業とエクステリア事業の比重が大きく、両方合わせて85%を占めています。

直近の経営状況

2021年12月期1Qの経営成績は、

となっており、減収で、利益面は営業利益は減益ですが、経常利益、純利益は増益の結果となっています。

建設需要の確実な取り込み、適正な販売価格の維持、原価管理及び信用リスクの遅効的な顕在化に備えた与信管理の徹底に取り組んでいましたが、新型コロナウイルス感染症の感染が再拡大しており、経済に対する影響は継続していることから、低調な荷動きとなりました。

また、前年1Q(2020年1-3月)は、新型コロナウイルス感染症による業績への影響が軽微であったこともあり、前年1Q比においては、売上高は減少しています。

セグメント別の経営成績は、

内装建材事業は、売上高 33.5億円(前年同四半期比 5.7%減)、営業利益 1.4億円(同 13.0%減)と減収減益になっています。

エクステリア事業は、売上高 30.6億円(前年同四半期比 2.3%減)、営業利益 1.6億円(同 0.1%減)と減収になっていますが、営業利益はほぼ変化ありません。

住環境関連事業は、売上高は10.3億円(前年同四半期比 2.2%減)、営業利益 0.37億円(同 19.2%増)と、減収ですが増益の結果になっています。増益は、販売費及び一般管理費の削減が寄与しています。

2021年12月期通期予想に対しての、1Qの進捗率は、

となっており、まずまずの進捗率となっています。今後の進捗に期待です!

財務面では、自己資本比率が、2020年12月期末時点で36.6%だったのが、2021年12月期1Qで37.2%と0.6ポイント上がっています。それほど大勢に影響ないレベルです。

株価指標

5/26(水)終値時点の数値

PERは、同業で時価総額が近い、トルク(8077) 30.1倍、クワザワHD(8104) 15.7倍、ダイケン(5900) 17.2倍と比較すると、低い水準となっています。

今期の予想配当金は、配当利回りは1.7%と、東証ジャスダックの単純平均1.59%(5/26現在)と比較し高い水準です。配当性向は直近で30~40%前後となっており、ほどほどに高いです。

※直近5年間の配当金は、以下のようになっています。

決算期年間配当金
2016年12月期40円
2017年12月期40円
2018年12月期45円
2019年12月期50円
2020年12月期55円
※初穂商事 年間配当金推移

直近5年間では、2018年12月以降連続増配を続けています。

週足チャート(2年間):

※出所:楽天証券サイト

株価は、昨年のコロナショック前の水準(1,800円程度)を一旦は回復しましたが、その後伸び悩んでいます。再度、直近の高値の2,000円を突破すれば、さらなる上昇も期待できるでしょう。

まとめ

2021年12月期1Q時点での業績は、通期計画に対する進捗率が利益面ではすでに35%達成しており、順調です。

アフターコロナ、ウィズコロナで建築関係の需要が活性化されれば、通期計画の上振れも大いにあると考えます。

配当は高いほうで3.7%もあり、また、直近では連続増配をして株主還元を積極的に行っていることが、この会社の良いところだと思います。

ただ、この銘柄は市場での出来高が小さく流動性が低いですので、中長期保有には向いているかもしれませんが、短期で売買となると、あまり魅力を感じません。

業績〇、配当〇、流動性×ということで、今回の立会外分売は、「中立」と判断させていただきます。

※株式投資の実際の売買は、自己判断、自己責任でお願いします。

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